記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派13

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 瞬時に指を絡め、強く握られて耳朶を赤らめる。

 

「手繋いで行くよ」

 

「ヤだよ、恥ずかしい」

 

 玄関で靴を履きながら、幾ヶ瀬の動きが一瞬止まった。

 

「今の、もっかい言って」

 

「今の……なに?」

 

 見ると幾ヶ瀬はニヤつきながら有夏の腰のあたりを凝視している。

 

「……お前はホントに気持ち悪ぃな」

 

 ヒドイと返しながらも、幾ヶ瀬の顔はニヤけたままだ。

 

「そんな容赦ない有夏が好き。だけどベッドでの素直な有夏も大好き」

 

「なに言って……」

 

「だってベッドじゃ全然違うんだもん」

 

「だからなに言ってんだよ。お前のが全然違うわ」

 

 靴箱の引き出しから鍵を取り出した姿勢のまま、幾ヶ瀬が固まる。

 

「じゃあさ、普段の俺とベッドの俺。どっちがいい?」




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