記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派4

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 これはどうやら待ちの態勢のようだ。

 

 有夏が何か言うまでこの得体の知れない圧が弱まることはあるまい。



「うぁ……な、何かの発売日だっけ」

 

「………………」

 

「うん、違うな。えっと……何かの祭りの日? アレか、ハロウィンか。それか生誕祭」

 

「生誕祭って何なのそれ……?」

 

「ア、アニメか何か? 推し的な? 誕生日会……?」

 

 ──違うよ。

 

 小さな声でそう返されて、有夏は早くも万策尽きたというふうに両手を広げてみせた。

 

 目の前で、幾ヶ瀬の大袈裟なため息。

 

「そうだよね。有夏はドラクエの発売日は覚えてても、俺の誕生日は忘れる人だもんね」

 

 「いやいや、ドラクエは別格だろうが。 あ、誕生日なんだ。オメデトー。よし、祝いの品ないからリンゴをやろう」


 幾ヶ瀬が剥いたウサちゃんリンゴを当人の口に突っ込んで、有夏は白々しく拍手した。




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