【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】
「てか、ムリだって」
スマホを耳にあて、有夏が叫んだ。
珍しい光景だと、床に正座して洗濯物をたたみながら幾ヶ瀬が横目で見やる。
有夏が電話をしているなんて。
正確に言えば、有夏に電話で話す相手がいるなんて。
しかもこんなふうに感情を露わに話ができる相手なんて。
「いきなりとかムリだし。せめて1週間前に言っといて……え? ホントにムリだって。えぇ!? ちょっ、お母さん?」
──どうせ相手はお母さんだろうと思っていたが、リアルだったらしい。
幾ヶ瀬はそっとため息をついた。
我が恋人ながら、電話する相手が母親しかいないというのは悲しくなる。
まぁ、同時に安心もするわけだが。
電話の相手が知らない男、あるいは知らない女だったら?
それはそれで、気になって仕方なくなるからだ。
「ちょっ、お母さんってば! 酷ッ!」
一方的に通話を切られたか、画面を見ながら有夏が呆然としている。
やがて、ゆっくり振り向いた。
「いぐぜぇぇぇ…」
「な、なに……?」
この感じは確か以前も……?
洗濯物をたたむ手を止めて、幾ヶ瀬は用心深く有夏の方に視線を送った。
「ありかのへや、がだづげでぇぇぇ……」
またか!
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