春の嵐(8)

 【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】


 ムードというなら、平気な顔して高校ジャージを着るのもやめてほしいものだと思いながら、両手をあげさせて上着を脱がせる。


「いくせ、早く……」


 急かすような口元を舌先でつついた瞬間のこと。


 ドン──廊下に大きな音が響いた。


「うわぁ」


 呻いたのは2人のうちの、どちらであったろうか。


 このタイミングで邪魔が入るって何?

 いやはや、お約束だな、と。


「おい、開けろよ。いるんだろ!」


 借金の取り立てじゃあるまいし。

 ドスのきいた女の怒鳴り声に、有夏が慌てて立ち上がる。


「い、幾ヶ瀬、あと頼むな。あぁ、どっかに隠れなきゃ……」


「隠れるってどこに!? 有夏のお姉さんでしょ? 隠れてどうすんの!」


「いや、ムリムリムリ。有夏にはムリムリ」


 そそくさとジャージを拾う姿が何だか情けない。

 上半身ペラい半袖Tシャツのまま、有夏はベランダの扉を開けてコソコソ出て行った。


「いやいや、俺の方が無理なんだけど!?」


「春の嵐9」につづく

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