【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】
ムードというなら、平気な顔して高校ジャージを着るのもやめてほしいものだと思いながら、両手をあげさせて上着を脱がせる。
「いくせ、早く……」
急かすような口元を舌先でつついた瞬間のこと。
ドン──廊下に大きな音が響いた。
「うわぁ」
呻いたのは2人のうちの、どちらであったろうか。
このタイミングで邪魔が入るって何?
いやはや、お約束だな、と。
「おい、開けろよ。いるんだろ!」
借金の取り立てじゃあるまいし。
ドスのきいた女の怒鳴り声に、有夏が慌てて立ち上がる。
「い、幾ヶ瀬、あと頼むな。あぁ、どっかに隠れなきゃ……」
「隠れるってどこに!? 有夏のお姉さんでしょ? 隠れてどうすんの!」
「いや、ムリムリムリ。有夏にはムリムリ」
そそくさとジャージを拾う姿が何だか情けない。
上半身ペラい半袖Tシャツのまま、有夏はベランダの扉を開けてコソコソ出て行った。
「いやいや、俺の方が無理なんだけど!?」
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