こうして秘密が暴かれる1

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  ミルクの中で砂糖と卵が混ざり合う。

 

 仕上げにバニラエッセンスを一振り。

 

 濃厚な甘い香りが部屋を満たす。

 

「……うぅん?」

 

 先程から、心ここにあらずという風に鼻をひくつかせていた有夏がついにPSVitaを横に置いた。

 

「幾ヶ瀬、何つくってんの」

 

 キッチンへ向かう。

 

 足取りは、彼にしては珍しく軽いものだ。

 

 渋面を作って小さなカップに液体を注いでいた幾ヶ瀬は、有夏の気配に顔をほころばせる。

 

「プリンだよ。2時間くらいで固まるから、後で一緒に食べよう」

 

「ん? 朝?」

 

「いや、固まったらすぐに食べたいじゃん」

 

「はぁ? 何時だと思ってんだよ」


「あははっ、夜更かしさんの有夏が言う?」


「夜更かしさんって、言い方よ……」

 

 有夏が躊躇するほどである。

 

 時計は2時を回っている。勿論、夜のだ。

 

 幾ヶ瀬、明日休みだっけと言いかけて、目の前の男の異様に静かな微笑に気付く。

 

「いいんだ、もう仕事辞めるから……ははっ」

 

「うっわ、また言ってるよ」

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