こうして秘密が暴かれる2

 【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】


 相変わらず忙しいらしい幾ヶ瀬は、今日──もう昨日になるのだが──も早番の入り時間に出かけ、遅番の上がり時間で帰ってきた。

 

 昼休みは例によっていちいち家へ帰ってくるのだが、やはりどこか慌ただしく店に戻っていく。

 

「プリンはいいからさっさと寝ろよ。疲れてんだろ」

 

 有夏にしては珍しい。気をきかせてそう言うと、幾ヶ瀬は型に入れたプリンを持って顔を歪めた。

 

「朝になったら仕事に行かなきゃならないし。そしたらゆっくりプリン食べてる時間もないし。ああ、そうだった。辞めるんだった。そうだった…ははっ……」

 

「はぁ……」

 

 こうなると幾ヶ瀬は少々面倒くさい奴で。

 

「尊敬する稲川淳二大先生を目指して怪談師になる夢を叶えるんだ。目指すは怪談グランプリ出場……ああ、YouTuberにならなくちゃ。そうだ、プリンをカラダにかけて舐め回すっていう動画はどうだろうか」

 

「どうだろうかって、お前がどうなんだろうな」

 

「あははっ、もうプリンを見るとヤらしいことしか思い浮かばないんだよっ!」

 

「あー……うん、だな。うん……よし、後で一緒に食うか。うん、それまで幾ヶ瀬、寝てていいから。だいじょぶ。ちゃんと起こしてやるって。うんうん、怪談グランプリにも出たらいいさ。存分に怪談を語ったらいいさ」

 

「……ははっ」

 

 薄ら笑いを浮かべて押し黙る幾ヶ瀬。

 頭の中で名作怪談をリプレイしているのだろうか。

 時折、唇が震えている。

 怖い。


0 件のコメント:

コメントを投稿