こうして秘密が暴かれる10【完】

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 「ありかー? しようよぉ、キス」

 

 つかまれた腕を、有夏は反射的に振り払った。

 

「嫌です。しません。寄らないでください」

 

「えっ、何で敬語……? あっ、プリン、そろそろ固まったかな。食べようか」

 

「食べません。来ないでください」

 

「有夏さん?」

 

 フラリと立ち上がった有夏はそのままベッドに倒れ込んだ。

 目をカッと見開いている。

 

「ねぇ、有夏さん? 怒ったの? ごめんよぅ……」

 

 幾ヶ瀬はベッドの縁に手を添えて恋人の名を呼び続けた。

 その時間、10分程であったろうか。

 

「あり……」

 

 すぐに幾ヶ瀬の寝息が聞こえてきた。

 

 仰向けに転がったまま硬直する有夏。

 目を見開いて天井を見詰めている。

 

「……コイツがキテるのは知ってた。でも、有夏が甘かった。思ってた以上にヤバい奴だった」

 

 スヤスヤと、実に平和な寝息が聞こえてくる。

 とりあえず布団をかけてやったのは、有夏なりの優しさか。

 

 夜が明けると幾ヶ瀬は、己がやらかした暴挙に頭を抱えることになる。

 深夜テンション……恐るべし。


「こうして秘密が暴かれる」完

19「つぎのあさ」につづく







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