こうして秘密が暴かれる4

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  冷蔵庫にカップを並べる様は、いつもの幾ヶ瀬の態度に戻っている。

 

「有夏、甘いのもの好きだもんねぇ。俺、有夏のためにパティシエになろうかな」

 

 なんて言い出す始末。

 

 ブレッブレじゃねぇか。怪談師はどうしたんだよと有夏は肩を竦める。

 

「有夏のために何かにならんでいいわ。パティシエでも何でも、勝手に自分のためになれよ」

 

「やだ、深いっ!」

 

「深くねぇよ」

 

 疲れているためか、このところの幾ヶ瀬はこんな感じで面倒なうえ、時として異様にテンションが高い。

 

 夜中にこうやってお菓子をつくったり、ホラー映像を見たり。

 

 レストランオーナー渾身の新メニュー・春恋シリーズによる忙しさからキテる、一連の行動である。

 

 意外とキャパの狭い幾ヶ瀬は、こうやって煮詰まっては有夏曰く「うざいかんじ」になるのだ。

 

 疲れているのは確かだ。放っときゃそのうち寝るだろうと、有夏は無言でゲーム機に手をのばす。

 

 ダウンロードした懐かしのFF過去作に、彼は今夢中なのだ。

 

 その手を幾ヶ瀬がつかんだ。

 

「ほら、うざい」

 

 有夏が小さな声で呟いたのを、幾ヶ瀬は気に留めなかったようだ。


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