秘密の撮影会1

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「有夏……」


 名前を囁かれ、顔を近付けられる。


 そうすると目を閉じて、少し顎を傾けて待つのが常になっていた。


 姉たちの余りもののように付けられたこの名前は、昔から嫌いだった。


 可愛らしい名前だと揶揄いの種になったから。


 でも、今は違う。


 好きな相手に呼ばれる名の、何と愛おしいこと。


 唇を優しく座れ、あとは愛撫に身体をまかせる──はずなのだが。


 そう。夕食も入浴も済ませた。幾ヶ瀬は明日は休みである。


 確実に、そういう流れの──ハズなのだが?


 近付く息づかいがちっとも感じられないことに、訝しんだ有夏。


 ちらり。

 薄目を開けた瞬間のこと。


「秘密の撮影会2」につづく

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