こわい☆みかん(2)

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  まぁ、不満を露わにするのも無理はない。

 同じ番組を1ヵ月に二度は見て、幾ヶ瀬独特の表現で感想を聞かされているわけだから。


 しかも回を追うにつれて、稲川大先生は「怪談の神」から「文学・エンタメ界のダ・ヴィンチ」「二千年に一人の天才」と称されるに至り、今日はついに「人類の救世主」と表現されるに至った。

 ものすごい出世である。


 救世主に陶酔する幾ヶ瀬の耳には、有夏の苦情の声など届いちゃいないのだろう。

「ほぅ……ほほぅ……」と何度も息を漏らすと座布団に座った。

 スッと真顔になる。


「それより思ったんだけど有夏、みかん食べ過ぎじゃない?」


「話飛ぶなぁ!」


 有夏のツッコミ。

 話題が稲川大先生から、まさかの「みかん」へ着地した。


「いや、だって。ほんの一瞬目を離した隙に、みかんの皮が積みあがってるから」


 食器を洗っている僅かな間に、卓の真ん中にみかんの皮が積まれている現象。

 幾ヶ瀬的には、このひと月ほど悩まされている怪現象である。


「こわい☆みかん3」につづく
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