こわい☆みかん(9)

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「まぁいいや。言っちゃう」


 気楽な調子で結論付けて、有夏はスッと指をさしたのは冷蔵庫だ。

 正確に言うと、冷蔵庫の横にくっ付けたマグネットフック。そこにぶら下げられている網状の袋であった。


「幾ヶ瀬が夜な夜なキッチンに立って、何かブツブツ言いながらその袋に何か詰めてる。ここんとこ毎日」


「うそっ、覚えてない……。俺、何て言って……?」


「食べなきゃ。みかんを食べなきゃ。みかんの皮まで残さず食べなきゃって言ってるぅー」


 語尾が異様に明るいのは、有夏なりの配慮なのだと推察できた。


「うそ。俺、そんなことしてたんだ……」


 呆然と網状の袋に触れてみる。

 よく見ると、中にはみかんの皮がギュウギュウと詰め込まれているではないか。


「……なにこれ」


「幾ヶ瀬、毎日みかん食べてるし。ついに憑りつかれたんだなって思って。怪談ファンだし、それもいい経験かなって思って」


 有夏の苦い表情。


「ああ、そうか。有夏じゃなくて俺が憑りつかれてたのか……」


「こわい☆みかん10」につづく

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