【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】
にまにま。にまにま。
口元が緩んでいる。
「なぁ、幾ヶ瀬」
にまにま。にまにま。
ご機嫌な表情でにやついているのは有夏だ。
「幾ヶ瀬ってば」
「おーい、幾ヶ瀬?」
先程から何度目かの呼びかけを、しかしあえなく無視される。
それなのに、なおも笑顔を崩さない有夏。
傍らの眼鏡男はブツブツと職場の愚痴をこぼしていた。
「あの店長、やり口が汚すぎる。何がクリスマスディナー限定ポイントだ。客のマダムも気付け。いつものメニューと何ら変わらんことに。おかげで俺たちの休みがどんどん削られていく……」
とどまるところを知らない悪口の内容は、いつものように店長の悪口だ。
矛先は客のマダムにも向けられ、さらにシフトの愚痴が始まった。
まぁ、いつもの光景である。
いつものアパートのいつもの部屋。
そう、何もかもいつもの光景だ──有夏の異様な笑顔を除いては。
「そっかそっか。早くそいつにお迎えが来たらいいな!」
にまにま。にまにま。
過激なことを言いつつも、笑顔は変わらない。
「にんげんだもの2」につづく
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