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幾ヶ瀬も唖然とした表情の後、呆れたように息をついた。
「辞めてどうすんの。来月からどうやって暮らすっていうの。有夏が養ってくれるって言うの!?」
「ふっ、ふふっ……」
攻撃の矛先が自分に向いたことに、しかし有夏は気にする様子もない。
柔らかく微笑んだまま、微動だにせずこたつに鎮座しているではないか。
急須を傾けてカップにお茶をいれながら、幾ヶ瀬の愚痴は尚も続こうとしていた。
「あのね、大人は仕事が嫌だから辞めるって訳にはいかないんだよ。有夏だって分かるでしょ」
「ふふっ」
「このさいだから言うけど、こないだ早起きしたとき、本当は学校行ってないでしょ。行ったふりして電気屋のゲーム売り場にずっといたんでしょ。分かるんだよ、そういうのは。もちろん有夏のお姉さんからかかってきた電話には、ちゃんと学校に行ってますって言っといたけどね。ねぇ、分かるんだよ?」
「ふふっ」
「学校が嫌なら、一回アルバイトでもしてみたら? ねぇ、聞いてる!? ねぇ、せめてアルバイトでも……!」
微笑を湛えながら、有夏がゆっくりと首を振る。
「ううん。有夏、働かない」
「はぁっ!?」
「にんげんだもの4」につづく
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