にんげんだもの(5)

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 そんな彼の眼前にヒラリと差し出されたのは白い封筒──よく見れば近くのコンビニのチケット袋だ。


「えっ、ほんとに……?」


 有夏の手首の動きに合わせてペラペラと揺れることから、軽いものと分かる。

 そう、紙切れ1枚が入っている程度の。


 紙切れ──それは色々な想像をかきたてられる最強のアイテムだ。


 紙幣かもしれない。

 人類を救うアイデアのメモかもしれない。

 ワクワクする物語の構想が描かれているのかも。

 あるいはお母さんの買い物メモだったり、0点の答案だったりして。

 使用済みティッシュということだってありうる。


 宝くじの当選券も……それは当然紙切れだ。


「いやぁ、やめてっ! 有夏、やめてよっ!」


 袋の中からグリーンの紙切れを取り出す有夏。

 勿体ぶったように、それはそれはゆっくりと。


「いやぁぁぁ……」


 掠れた悲鳴がほとばしり、幾ヶ瀬は自身の口元を両手で抑えた。


「にんげんだもの6」につづく
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