【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】
そんな彼の眼前にヒラリと差し出されたのは白い封筒──よく見れば近くのコンビニのチケット袋だ。
「えっ、ほんとに……?」
有夏の手首の動きに合わせてペラペラと揺れることから、軽いものと分かる。
そう、紙切れ1枚が入っている程度の。
紙切れ──それは色々な想像をかきたてられる最強のアイテムだ。
紙幣かもしれない。
人類を救うアイデアのメモかもしれない。
ワクワクする物語の構想が描かれているのかも。
あるいはお母さんの買い物メモだったり、0点の答案だったりして。
使用済みティッシュということだってありうる。
宝くじの当選券も……それは当然紙切れだ。
「いやぁ、やめてっ! 有夏、やめてよっ!」
袋の中からグリーンの紙切れを取り出す有夏。
勿体ぶったように、それはそれはゆっくりと。
「いやぁぁぁ……」
掠れた悲鳴がほとばしり、幾ヶ瀬は自身の口元を両手で抑えた。
「にんげんだもの6」につづく
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