にんげんだもの(7)

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 わざと焦らして楽しんでいるわけではないと幾ヶ瀬は知っている。

 空気を読まないのは有夏の悪いところでもあり、良いところでもあるのだ。


 ひとしきり何かの漫画の最終回予想をまくし立てたのち、有夏はようやく自分の手元にある小さな袋に視線を落とした。


「なに? ああ、そうだ。コレコレ。幾ヶ瀬がよく買ってるやつ。ビッグ? 何かのくじのやつ。一回買ってみよ思って有夏も1枚買ってみたんだけど、あれ買うの難しいのな。会員ですかとかコピー機が聞いてくんの。わけ分かんなくなって何回もやり直しして。やっと変えたって思ったら、結局最後にレジに行かなきゃなんないって。コピー機で買えると思ってたしむつかしかったし! それに……」


「馬鹿がっ! そんなのいいからっ!」


「バカ……???」


「あ、いや、ごめん。つい本当のことを……あ、いやいや、じゃなくて。それ、そのチケット……」


 ──当たったの?


 なぜか消え入りそうな小声で、幾ヶ瀬は囁いた。


「にんげんだもの8」につづく
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