記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派1

【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】





  引きこもりの常として、彼の朝は遅い。

 

 明け方近くまでゲームをやり込んでいるからだ。

 

 午前7時など、眠りの世界の一番深いところを漂っている時間だろう。

 

 加えて彼はアラームの無機質な音を嫌がる。

 

 切迫感を覚え、不安になってしまうらしい。

 

 従って彼──胡桃沢有夏は今、この上なく不機嫌であった。

 

「……んだよ……んじだとおもっ……」

 

 目がほとんど開いていない。

 

 長い睫毛の影に黒目がうっすら覗いているが、目の前の光景を見ているのかどうか。

 

「おはよっ、有夏。いい朝だよ」

 

「ピピピピピッ」

 

 最大音量のアラーム音を轟かすスマホを手に、幾ヶ瀬はベッドの脇に腰かけていた。

 

「あーりかっ、今日は何の日か覚えてる?」

 

 気持ち悪いくらいの笑顔で有夏の顔を覗き込む。

 

「……のおと、やめ……。しね。ありか、もうちょ……ねる」






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