記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派6

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 ぼーっとしたままリンゴに手を伸ばすその姿に、幾ヶ瀬は再びため息をつく。

 

「本当に覚えてないんだ? 今日は2人の初チュー記念日だよ」

 

「は?」

 

 有夏が横目で幾ヶ瀬をチラ見する。

 

 その表情は強張っていた。

 

「え、なに? はつちゅ…………うっわ、キモいんだけど?」

 

「何で!? 大事な日じゃん!」

 

「いやいや、キモイキモイ。んなこと、いちいち覚えてんのかよ。キッモ!」

 

 思いきり否定しながらも、幾ヶ瀬が作ったちりめんじゃこ入り玉子焼きを頬張っている。

 

 心外であるという顔を作りながらも、幾ヶ瀬はマグカップに紅茶をなみなみと注いだ。

 

「俺、カードとか銀行の暗証番号もその日付にしてるけど?」

 

「へ、へぇ……推察されにくくていいんじゃねぇの?」

「記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派7」につづく

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