記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派7

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 有夏、今度はおにぎりに手をのばす。

 がぶりと一口喰らいついて、にんまりしたのは具がサケだったかららしい。

 

「ひどいよ、有夏。俺は1ヶ月前から楽しみにして。大事な日だから有給とって、一緒にお祝いしようって……」

 

「なんてもったいない有休の使い方を……!」

 

 2つ目のおにぎりをモグモグ食べながら、有夏がちらりと幾ヶ瀬を見やる。


「じゃあ、ゲームの新作か漫画の大人買いか。あるいはフィギュア。あるいはグッズ。思い切って、有り金全部課金につぎ込むという手も……」


「有り金全部使ってたまるか! それ全部有夏の欲望じゃない。そもそも2人の記念日だよ? 有夏、分かってるの!? 思い出になるような何か……」


「あー、分かったよ。んじゃ新型スイッチ買おう」

 

「何のスイッチ?」

 

 おにぎりの3つ目にかぶりつきながら、有夏は少々呆れたように目を細めた。

 

「ニンテンドー様の新型Switchだろうが。家の中でもできるし、外にも持ち出せるやつの新型。まさか知らねぇとか? 画面が大きくなって、あといろいろ良くなったらしい。すごく良くなったらしい!」

 

 曖昧な情報を饒舌に喋る有夏を、半眼を閉じた幾ヶ瀬が眺める。

 

「有夏、外出ないからいらないじゃん」

「うっ……」

「記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派8」につづく

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