記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派2

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 布団をかぶり直そうとする手を、幾ヶ瀬がグイとつかむ。

 

 しばらくは無言の攻防が続いたが、結局布団をはぎ取られるという形で決着がついた。

 

「さあっ、朝ご飯にしよ。顔を洗っておいで♪」


「いやだ、顔なんざ洗わん」


 有夏の半開きの目は据わっている。

 

 ベッドのすぐ横の座卓には、すでに皿やコップが並べられていた。

 

 おにぎりとヨーグルト、果物に紅茶──微妙な取り合わせだが、幾ヶ瀬家の朝食はいつもこんな感じだ。

 

 それに加えてフルーツケーキにツナサラダ、唐揚げと玉子焼きまで並んでいる。

 

「……んに? ごちそう」

 

「やだなぁ、有夏。いつものメニューでしょ」

 

 あきらかに浮かれた様子で幾ヶ瀬が声を張り上げた。

 

 その違和感に、有夏の意識も徐々に覚醒していったようで。

 

7時って……ありえんわ!」

 

 あらためて時計を見て絶句している。

 

「いや、有夏サン? 7時起きは世間ではわりと普通ですよ?」

「記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派3」につづく

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