記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派12

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「は? なにいって……」

 

 縋るような口調に、有夏は顔をしかめる。

 

「ヤることヤっといて、今更デートもクソもねぇだろ」

 

「な、何てことを……有夏っ!?」

 

 幾ヶ瀬が絶句する。

 

 彼としては遊園地でなくとも良いのだろう。

 

 恋人と2人で出かけたいという、それはささやかな望みの筈だ。

 

 だが、極力外へ出ようとしない有夏に対しては過ぎた要求であるのも、また確かなことで。

 

 双方、揉めたいというわけでは決してないのに、何となく気まずい沈黙が続く。

 

 それを破ったのは幾ヶ瀬の方であった。

 

「行こうか、有夏」

 

「は? どこに……」

 

 身構える有夏に、彼は柔らかく微笑みかける。

 

「コンビニ。一緒にアイス買いに行こう」

 

「う、うん……」

 

 差し出された手を、ぎこちなく取る有夏。





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