そのイタズラは正義か悪か1

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 ──何か変だ。


 太陽が地平から顔を覗かせた頃合いか。


 幾ヶ瀬は無論、世間もまだ眠りから覚めないでいるこの時間。


 ──何なんだ、これは。


 プラザ中崎2階、端から2軒目。


 シングルベッドに身体を折り曲げるようにして寝ている男は、突如襲った背筋がざわつくような違和感に飛び起きた。


「なに……あっ、あっ、あぁぁっっ!」


 唇の端が切れるくらいに大きく口を開けて、迸るのは悲痛な叫びだ。

 額から見る間に血の気が失せていくのが分かる。


「おは。幾ヶ瀬」


 ベッドに腰をかけて彼を見下ろしているのは、これはもちろん有夏だ。

 艶のある甘い声、やわらかな微笑。

 彼がこの時間に起きていることは珍しい。


 何かある、というのは長い付き合いの幾ヶ瀬には瞬時に分かった。


「そのイタズラは正義か悪か2」につづく





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