そのイタズラは正義か悪か5【完】

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 何日も考え抜いた復讐──いや、渾身のイタズラだったのだろう。

 顔だけ布団から出し、幾ヶ瀬は嘆息する。

 もう迂闊なことは言うまい。

 有夏を刺激したら、何をしでかすか分からない。


 アルミホイルって何だ、発想が怖いわ。

 復讐だったら怖すぎるし、イタズラだったらセンスがなさすぎる。


「……でも、そんな有夏が好き」


 思いが無意識に言葉に出たのだろう。


 囁くように呟いた彼の背に、有夏の額がコツンとくっつく。


「あ……か、も」


「えっ、何……?」


 向きを変えると、額と額がぶつかる距離で向かい合うこととなる。


 有夏の頬は赤い。


「次回はもっとスゴイの考えるから!」


「次回って……」


「イタズラのネタ!」


 妙な闘争心を刺激してしまったらしい。


「イタズラのつもりだったんだ。なんてタチの悪い……」


 幾ヶ瀬は恋人の腰に腕を回した。


「はいはい、次を楽しみにしてるよ」


「おう」


 でも寝起きはやめてねと付け足した言葉を、有夏は聞いちゃいないのだろう。

 しばらくして、2人の静かな寝息が聞こえてきた。


 休日の朝。ゆっくりと時を刻む。



「そのイタズラは正義か悪か」完


第21話「魔法のアイテム」につづく






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