そのイタズラは正義か悪か2

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 「ぁい……ぁぃひゃ……あっ、あひゃぁぁっっ」

 ──あり、ありかぁ……あっ、ありかぁ(訳)。


 パカッと口を開けたまま叫ぶものだから涎が垂れる。

 そこに涙も混ざった。


「にゃにひてくれ……ばぁぁっっ……」

 ──何してくれ……ばぁぁっっ……(訳)。


 そう。

 目覚めるなりこれだ。


 口の中に得体の知れない感触。


 電流を貯めた金属が歯を掠めたような、ぞわりと総毛立つこの感覚。


 そして眼前に有夏。そう、異様なくらいご機嫌な有夏。


「ぶぁああぁぁっっっ……!!」

 ──ぶぁああぁぁっっっ……(訳)。


 もう一度悲鳴をあげてから、幾ヶ瀬は己の口の中に指を突っ込んだ。


「ぺっ!」


 弾き飛ばすようにその違和感を吐き出すと、はぁはぁと息をつく。


「な、なにこれ……」


 涙と涎で顔中グチャグチャだ。


 ベッドの際には幾ヶ瀬の唾にまみれた銀色の球体が転がっている。


「ふふっ」


 有夏が笑いを噛み殺す。


「そのイタズラは正義か悪か3」につづく



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