つぎのあさ1

 【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】



 きれいな顔だと思って、ずっとその寝顔を見つめている。

 寝る前は不機嫌というか、茫然自失といった感じだったが、この安らかな表情といったら。


「幸せそうに寝てるよなぁ」


 放っておいたらこの男、昼まで寝こけるのは分かっている。

 だが、起こす気にはなれない。


 薄く微笑みながらベッドの縁に手をかけて恋人を見つめる──それが幾ヶ瀬の朝イチの日課であった。


「ぅん……」


 圧迫感を覚えたのだろう。
 有夏の眉間が険しく寄せられた。
 呼吸が早くなり、睫毛が揺れる。


 これは……お目覚めだなと、幾ヶ瀬はベッドから身を引いた。


 昨夜、疲労が蓄積されていたせいか、相当弾けてしまったことは覚えている。


 中高、そして同棲(?)生活と、ずっと抱えていたイケナイ秘密を暴露して、なんだか今朝は心が軽い。


 片思いが高じたが故のこととはいえ、人の笛や体操服を盗むというのは立派な変態による、立派な窃盗である。
 申し訳ないという気持ちが心の奥にわだかまっていたのは本当だ。


「ありかーっ、おはーっ! きょうは……ぐはぁっ!」


 明るい声が不意に潰れる。
 有夏の掌底が幾ヶ瀬のこめかみに炸裂したのだ。


「おはーじゃねぇわ。いちいち重ぇんだよ、お前の秘密は!」


「いや、はは……」

「つぎのあさ2」につづく

18「こうして秘密が暴かれる」はコチラ

【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】

0 件のコメント:

コメントを投稿