つぎのあさ6

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「でもいいんだ。俺が甘やかしてあげるから。有夏がダメ人間でも、毎日ぬくぬく暮らしていけるようにしてあげる」


「いくせぇ……」


 有夏の双眸が潤んだ。
 犯罪者の言い訳にも聞こえる今の言葉に何だかキュンとしてしまった様子。


「幾ヶ瀬、そんなに有夏のことスキなんだ」


「好きだよ」


「……そっち行っていい?」


 コロッと騙されたか、今の有夏には2人を隔てる小さな座卓さえ邪魔になったようで。


「あっ、でももうこんな時間……」


 洗濯物干さなきゃと幾ヶ瀬が慌てて立ち上がる。
 空の食器を片手にキッチンへ向かう後姿を見送り、有夏がプクッと頬を膨らませる。


「ごめんって、有夏。ほら、夕べのプリンできてるから」


「プリンか。うむ。良き良き」


 冷蔵庫の中できれいに固まっていることを確認し、手招きする。
 有夏がずるずると這ってきているのは、立ち上がるのが面倒臭いということか。


「ほら、あーん」

「ん」


 スプーンですくってやると、有夏の濡れた唇がそれをくわえる。
 幾ヶ瀬を見上げる目が細められた。


「つぎのあさ7」につづく

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