つぎのあさ3

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「……なんだ」


「え、何?」


「中学ん時……お前と別に友だちでもなかった気がするんだけど」


「あらやだ、有夏サン。まだその話引きずってるんだ」


「あらやだじゃねぇわ。よく考えたらドロボウじゃねぇか。この笛ドロボウ!」


「……泥棒って認識なんだ。良かった。変態より泥棒のほうがダメージ少ないもんね。よかった、有夏がバカで本当によかった」

 

「えっ、何か言ったか?」

 

「イエ、ナニモ?」


 幾ヶ瀬の顔面に笑みが張り付く。接客業なので愛想笑いは得意なのだ。

 その笑顔に翻弄されたか。夕べの衝撃の告白を引きずっているはずの有夏がポカンと虚空を見つめだした。

 脳味噌フル回転といった表情である。
 どんな怒りも、寝たらケロッと忘れてしまう有夏としては珍しい。

 だが、哀しいかな。フルで回転したとしても、彼の脳味噌は小さいのだ。

 

「そ、そうだ。コンビニに有夏が好きなゲームのグッズが置いてあって。ホラ、モンスターをハンティングしていくやつ」

 

「えっ、どんな?」

 

 幾ヶ瀬、ほくそ笑む。

 ほら、小さな脳味噌がもうゲームのことでいっぱいだ。

 

「ほら、有夏が今育ててるって言ってた笛の武器の……」

 

「……笛?」

 

「アッ、シマッタ!」


「つぎのあさ4」につづく

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