隣りのアタシはクソビッチ!?1


「んぁ?」

 靴を放り捨てるように脱いで部屋に入る有夏。
 手にはコンビニの袋、それから大きな紙袋を持っている。

「それ、どうしたの?」

 幾ヶ瀬は目ざとい。
 「お菓子のよしの」と書かれた紙袋に過剰に反応したのが分かった。

「もらった、ソコで」

「そこってどこなの? 誰に貰ったの? どういうものなの?」

 執拗にも思える問いに、だが有夏は平然としたものだ。
 中からビスコの箱を取り出した。

「隣りのクソビッチ。ビスコくれた」

 ──き、聞き捨てならねぇな。
   クソビッチはオマエだよ、胡桃沢有夏!

「あの女、まさか有夏に色目を使って……!」

 幾ヶ瀬が「キイッ」と叫んだ。

 ──ありえねぇだろ。
   アンタらの情事を毎日のように盗み見てんだよ、こっちは。
 ──第一、有夏チャンに惚れる要素はねぇ!

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