隣りのアタシはクソビッチ!?2


 普段はベランダから覗いたり壁の穴から覗いたり……ああ、いやいやゴニョゴニョ……。

 妄想ではなく、見たまま聞いたままのことを書きしたためている者っす。
 妄想じゃありません。


 今日はたまたま有夏チャンに会っちゃったんで、そのことを書こうと思います。

 有夏チャンに会ったのは、アパートの階段を登り切ったところです。

 コンビニ帰りらしく、スイーツの入った小さなビニール袋を提げてました。

「こんにちはぁ」

 アタシが挨拶をすると、すごい無表情で会釈をしてくれました。

「あ、待ってください。胡桃沢さん、お菓子お好きですかぁ?」

 胡桃沢有夏(クルミザワアリカ)──まったくマンガみてぇな名前だなと思いながらも、抱えていた紙袋を1つ差し出す。

「賞味期限ギリなんですけど良かったら……。バイト先でたくさん貰っちゃって」

 実際アタシは紙袋を4つ持っている。
 お菓子の卸売り店舗でレジのバイトをしてるんだが、たまに期限切れのやつを貰ったりするんだ。
 ラッキー、1人で食ってやれと思っていたのだが、ちょうど良い。
 お隣りのよしみだ。
 あと、日頃のノゾキの罪滅ぼしっていうか……。

「うん。あり、あり……ありが……」

 若干コミュ障気味の有夏チャン。
 意外なくらいあっさり受け取ってくれた。

「ビスコのミニパックが大量に入ってるんですけど。なんか懐かしいですよねぇ。今は味の種類も結構多くて。いちご味がおすすめですよっ」

「は?」

「あ、いえ。すみません……。あの、いっぱい入ってるんで。良かったら食べてください」

 ……チクショウ。めげそうだ。

「あの、お好きでしたらもう一袋……? どうですかね。お菓子いっぱい食べますぅ?」

 有夏チャンは首を横に振った。

 何大ウソついてんだ。お菓子大好きだろ、アンタ。

 クソ。
 この人、絶対目ぇ合わせてくんないな。





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