よわよわ☆テスト(1)

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「うぉっ! おぉーーっっ!」


 咆哮。

 それは、空も裂けよといわんばかりの悲痛な叫びであった。


「うぉー-っ! てーんーちょーのやつーっっ!!」


 そう。例によってである。

 GWが全滅だった幾ヶ瀬が、自室のベッドに突っ伏して吠えているのだ。


「うぉーーー! 店長ーーっ、死ねーーーっっ!!」


「ちょお……いくせ?」


 傍らの座卓に座った青年が「うっわ」と呟き、これは明らかに引いていた。


 こういう時だけ有夏は美青年然とした澄ましたツラをするので、幾ヶ瀬としてはイラッとくるのだろう。

 じっとりした目線で彼を睨みつけてから、あてつけのようにもう一度吠える。


「やーすーまーせーろー! てんちょー、死ねーーー!!」


 GWが全滅というのは、この場合『全日出勤』という意味である。


 店長死ねと連呼しつつ幾ヶ瀬は、自分は世界で一番気の毒な労働者なのだと切々と語り始めた。


「よわよわ☆テスト2」につづく


32「最後の攻防」はコチラ

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