記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派11

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「もぅいいわ。記念品の? やわもちアイス買ってくる。きなこのやつでいい?」

 

 立ち上がりかけた有夏の腕を、幾ヶ瀬がつかんで引き止める。

 

「アイスはいいって。それより聞いてよ。今日の計画」

 

「計画?」

 

「今日は大事な日だから2人で過ごすんだ」

 

「大体いつも2人じゃねぇの」

 

「そういうこと言わない! だから今日は……」

 

「分かったって!」

 

 幾ヶ瀬の計画はこうである。

 

 朝食後、2人で遊園地へ出かける。

 

 色々な乗り物に乗るのだが、観覧車は外せないらしい。

 

 初チューの思い出を語りながら、中でキスをするイベントが発生するそうだ。

 

 そのあと一緒に雑貨屋へ行き、おそろいのスープカップを買い、夕食はレストランへ。

 

 夜も当然一緒だ。

 

 僅かな隙間すら許さないくらいに密着して愛を確認するということだ。

 

「キッモ!」

 

 とっさに口走ってしまった有夏を責めることはできまい。

 

 たしかに幾ヶ瀬の乙女思考は日々ムクムクとあらぬ形へ成長していっている気配がある。

 

「有夏ぁ、デートしたいんだよぉ。俺はぁ」 


「記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派12」につづく

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