秘密の撮影会7

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「有夏が言う? いや、俺の頭がおかしいのかな? 『チー』って言うとき、口が笑ってるみたいに見えるからでしょ? えっ、じゃあ『ズ』は何だ? ねぇ『ズ』は何なの……?」


 何やら小さな声でブツブツ言い出した。

 唇を噛みしめているのだろうか、時折プルプルと顎が震えている。


「幾ヶ瀬はこれだから困る。ときどきワケが分からない」


 ヤレヤレと肩をすくめてみせた有夏。

 そんな彼の前で、おもむろに幾ヶ瀬が顔をあげた。

 電灯の白い光を受けて、眼鏡がペカンと光っている。


 奇妙な笑顔。これは幾ヶ瀬お得意の「現実逃避」というやつだ。


「ハイ、有夏さん。お写真お撮りしまっす。ハァイ、チーズっ♪」


「えっ、ちょっと待っ……あっ」


 しかし今回、ピロンという電子音は鳴らなかった。


「有夏さん?」


 呆れたように幾ヶ瀬がスマホを下ろす。


「秘密の撮影会8」につづく


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