秘密の撮影会3

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 「幾ヶ瀬、それ貸せって!」


 有夏の上体が伸びた。

 左手で相手の両手首をつかみ、右手をスマホにのばす。


「イヤだぁぁっ」と、耳にキンと響く大声で悲鳴をあげながらも、幾ヶ瀬も抵抗する。


 料理人の力は侮れない。


 立ち仕事であり、重い物を運ぶことも多々あるので、彼は見た目以上に体力も筋力もあるのだ。


 職業・ひきこもりの有夏に敵うよしもない。


「ちょっとーやめてよー。ありかー。やだなぁ、有夏に襲われちゃった。へへっ」


 「へへっ」のあとに「☆」マークでもついていそうな軽い口調である。

 余裕の体で両手を抑え込まれ、有夏としては呻くしかない。






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