こうして秘密が暴かれる3

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「いくせー? 疲れてんだろが。ムリすんなって」

 

「やだやだっ! だってぇ!」

 

 冷蔵庫の扉を開けて幾ヶ瀬が声を荒げた。

 

「仕事だけの人生なんて儚いよ! 1日の内の少しの時間でもいいから有夏と一緒に過ごしたい!」

 

「少しの時間って……けっこうお前……」

 

 幾ヶ瀬があまりにグダグタうるさいものだから、この1週間ほどは有夏も早起きをして一緒に朝食をとっている。

 

 昼休憩にはこの男、いそいそと帰ってくる。

 

 勤務時間は確かに長いが、終われば即行帰って来て2人で夕食、眠るベッドも一緒なわけだから幾ヶ瀬のキレ方に、有夏としても呆れたわけだ。

 

「分かったよ。寝坊しても知らねぇ……っ」

 

 くいっ。

 

 有夏の目の前に幾ヶ瀬の人差し指。

 

 指先がテラテラと光っている。

 

 どこか不機嫌そうな表情の幾ヶ瀬が、ちらちらと横目で有夏を見やる。

 

 本当に面倒臭い男だ。

 

「しょうがねぇな」

 

 指先を口に含んで、わざと音たてて吸ってやると、途端に幾ヶ瀬の表情はだらしなく緩んだ。

 

「甘いでしょ、有夏。冷蔵庫で固めようね」


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