春の嵐(15)

【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】

  ジャージの胸元に不躾な視線を送るのを堪えるためか、幾ヶ瀬はわざと難しい顔をして唸ってみせた。


「うぅん、ヌーディストの涼華お姉さんが怖いという訳じゃあないけども。でも、この馬鹿を学校に通わせるにはどうしたらいいんだろう。だって学校に行かなきゃ、馬鹿は一生馬鹿のままじゃないか」


 ブツブツと小さな声に、有夏は頬を歪めてみせた。

 「不愉快」と顔に書いてある。


「何言ってんの、幾ヶ瀬? 今度こそ別れるって?」


「ち、違うって!」


 エイプリルフールに嘘の別れ話でからかって以来、有夏は時折この話を持ち出してくる。


「あれはホントにごめんて。冗談なんだって。そうじゃなくて、そのぅ……お姉さんが大学行かないと罰金だって仰ってて……」


「あっ!」


「え?」


 まじめな話をしようとしていたのにと、遮られて戸惑う幾ヶ瀬。

 有夏ときたらジャージの首元をキュッと握った。


「え、あ、ごめん……」


 幾ヶ瀬は慌てて視線を逸らせた。

 乳首の残像がちらついて、Tシャツ越しに胸のあたりを凝視していた気がする。

 いや、どうだっただろう。

 もう無意識レベルでの目線の動きだから自分でもよく分からない。


「春の嵐16」につづく

《PR》


【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】


0 件のコメント:

コメントを投稿