春の嵐(5)

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 ひでぇ、と有夏が呟く。


「生ごみはないから全然マシな方だって、幾ヶ瀬言ってたのに……」


「いや、それは言葉の綾ってやつで……。いや、待って。全然マシなんて言った覚えはないけどなぁ! だって有夏、あの汚部屋! あの惨状!」


「そこまで言うとは……」


「ごめ……」


 俯く有夏の頬に手を差し伸べかけて、幾ヶ瀬は「ハッ!」と息をのんだ。

 危ない危ない、無条件に謝りそうになったと小さく呟く。


「違うし! 何で俺が悪いみたいになってんの? おかしいよね? 今しなきゃいけないのは掃除だよね? 誰の部屋の掃除なの? 有夏の部屋だよね? それに有夏、俯いて泣いてんのかと思ったら、マンガ読んでるだけだよね!」


「ごめんー」


 たたみかけられ、調子に乗っていた有夏もしょんぼりとうなだれる。

 しかし、膝には乗ったままだ。一向に立ち上がる様子はない。


「幾ヶ瀬、怒んなって……」


「ごめん……怒ってないし」


「春の嵐6」につづく

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