春の嵐(14)

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 嬉しそうに包みをあけて、自由の女神のメモスタンドを目にした有夏は、目に見えてガッカリしたように肩をおとした。


「これ5個目だ……。もぅいらねぇ。幾ヶ瀬、やる」


「あ、ありがと……」


 正直、俺もいらないと口にしなかっただけ、大人の対応である。


「貰いものってさ。欲しい物じゃなかったらお金がいいな。お金か食べもの。そう、お金じゃなかったら、食べてなくなるもの」


 身も蓋もないことを言いながら、有夏はそそこさとジャージの上着を着込んだ。


「久しぶりに外に出たわ。この時間、結構寒いのな」


「ふーん、ベランダを外って言うんだ」


 嫌味が通じるはずもないと分かっちゃいるが、つい言いたくなるのが人情というものだ。

 呆れ顔の幾ヶ瀬の表情だが、しかし次の瞬間口元を押さえた。


「なに?」


「いや、別に……」


 にやにやと顔が緩んでいる。


「いや、シャツが……うふふっ」


「はぁ?」


 日中は気温が上がっても、この時期は夕方になると一気に冷え込む。

 そのせいだろう。有夏がジャージを着こむ際、Tシャツ越しに乳首がツンと立っているのが見えてしまったのだ。

 「外出先」のベランダが寒かったのだろう。


「春の嵐15」につづく

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