春の嵐(16)

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 「ほほぅ、幾ヶ瀬?」


「ほ、ほほぅって何?」


「ほほぅ、続きを?」


 有夏の顔がニヤついていることに、幾ヶ瀬は気付いた。

 そういやさっきは寸前で中断させられたんだった。


 有夏ときたら、今もそのノリのつもりなのだろう。

 あるいは大学とか罰金という話題が嫌で、回避しているつもりなのかもしれない。


 こちらとしては何だか春の嵐に巻き込まれたようにドッと疲れて、その気も失せてしまったのだが。


 これが毎日家にいて元気を持て余しているニートと、常に疲労困憊な労働者の差であろうか。


「何だ、しないのかよ」


 幾ヶ瀬の呆れたような表情を見て、有夏は口を尖らせた。

 所在なさげに下ろした手を次の瞬間、幾ヶ瀬がつかむ。


「……待って。しないとは言ってない」


「はぁ? 何だよ、その言い方……もぅいいよ」


「待って待って! するする!」


 返事も待たずに手を伸ばすと、ジャージとTシャツの裾をまとめて上へずり上げた。

 突然、晒されたせいか。

 薄い桃色をしたそれがキュンと縮むように立ち上がる。


 遠慮する様子もなく両手でつまんで、指の腹を使ってこすり合わせるように触ると、それは見る間に固くなっていった。


「春の嵐17」につづく

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