春の嵐(2)

【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】


  取り込んだばかりのタオルを膝で踏みしめながら、有夏がにじり寄ってくる。


「姉ちゃんがくるって。有夏の部屋、今グチャグチャだ……」


 またか!!


 前にも同じことがあった。

 完全に同じことがあったよなと思い起こす。


「今グチャグチャじゃなくて、いつもグチャグチャなんでしょ」


「うわ……」


「前に俺がきれいに掃除してあげたでしょ。何でその状態を保てないの」


「うわぁ……」


 常に幾ヶ瀬家に入り浸っていて、隣りの自分の部屋に戻ることなどない有夏が、なぜ凝りもせずゴミ屋敷を拵(こしら)えてくれるのか。


 説教を垂れても無駄であることは経験上、嫌というほど分かっている。


「……しょうがないな。いつ来るの?」


 ため息は自分に向けてのものだ。

 我ながら甘い、と。


「春の嵐3」につづく

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