【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】
事務室だろうか。
スマホのライトで中を照らすと、アルミ製の机が並ぶ室内の様子が浮かび上がった。
あまりにスマホの照明が眩しいせいもあってか、明かりの範囲外は恐ろしいまでの闇に覆われている。
有夏チャンの姿など見えやしない。
「ヒィィ……せ、潜入しますぅぅ」
うっわ、涙ぐましいな。この新人YouTuber。
幾ヶ瀬のヤツ、泣きながらも扉の縁に片足をかけた。
だが、そこで固まっている。
「ほら、早く入ってくださいよ」
「わ、分かってますぅぅ……!」
どうしても入れないらしい。
扉を前に全身カタカタ振動している。
メガネの尻を眺めがら、アタシはため息をついた。
「アタシ、何でこんな夜中にこんなことを……」
いけない、我に返ってはいけない。
突然沸き起こった疑問を、アタシは頭から追い払った。
「ほら、こんな所でグズグズしてたらチャンネル登録してもらえませんよ?」
発破をかけたときのこと。
カメラ越しに幾ヶ瀬がこちらを向いたのだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿