幾ヶ瀬Present's愛と笑いの怨念チャンネル15

  【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】


 事務室だろうか。

 スマホのライトで中を照らすと、アルミ製の机が並ぶ室内の様子が浮かび上がった。

 あまりにスマホの照明が眩しいせいもあってか、明かりの範囲外は恐ろしいまでの闇に覆われている。

 有夏チャンの姿など見えやしない。

 

「ヒィィ……せ、潜入しますぅぅ」

 

 うっわ、涙ぐましいな。この新人YouTuber

 幾ヶ瀬のヤツ、泣きながらも扉の縁に片足をかけた。

 だが、そこで固まっている。

 

「ほら、早く入ってくださいよ」

 

「わ、分かってますぅぅ……!」

 

 どうしても入れないらしい。

 扉を前に全身カタカタ振動している。

 メガネの尻を眺めがら、アタシはため息をついた。

 

「アタシ、何でこんな夜中にこんなことを……」

 

 いけない、我に返ってはいけない。

 突然沸き起こった疑問を、アタシは頭から追い払った。

 

「ほら、こんな所でグズグズしてたらチャンネル登録してもらえませんよ?」

 

 発破をかけたときのこと。

 カメラ越しに幾ヶ瀬がこちらを向いたのだ。

 ヒィ、怖い! 人のいない夜の学校でヘンタイと2人きりじゃねぇかと思ったら、ヤツの視線はアタシを通り越して向こう側に滑る。

「幾ヶ瀬Present's愛と笑いの怨念チャンネル16」につづく




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