幾ヶ瀬Present's愛と笑いの怨念チャンネル5

 【【BL】隣りの2人がイチャついている 目次と各話紹介はコチラ】




  ※  ※  ※  ※  ※

 

 夜の8時。

 中途半端に田舎で、中途半端に都会であるこのあたりは、コンビニや飲食店の照明のおかげで灯かりには困らない。

 

 そうは言っても、町はずれの廃校となると話は別だ。

 

「ヘイ、照明! カモン!」

 

 幾ヶ瀬が指をパチンと弾いた。

 

「……ハイ」

 

 アタシはスマホのライトをオンにした。

 錆びた校門の向こうに、4階建ての灰色の校舎が重苦しく横たわっている。

 黒く沈みこむ窓から何かが覗いているようで、アタシは思わず顔を背けてしまった。

 

「ちゃんと撮れてる? まったく役に立たないんだから」

 

「……ハイ。ちゃんと撮れてます」

 

 えらく張り切っていやがる、ヘンタイメガネのくせに。

 何回も断ったよ?

 だが、ヤツは聞いちゃいない。

 

 ──町はずれの廃校に心霊系動画を撮りに行く! 行くったら行く!

 

 そう言って、ヤツはアタシに付いてくるよう命令した。

 ジェスチャーで分かる。カメラ係をしろと言っている。






0 件のコメント:

コメントを投稿