夏だから…怖い話(7)

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 不服そうに黙り込む有夏。
 お茶をちびちび飲みながらジロリと幾ヶ瀬を睨み付ける。

「そんな顔したって怖くないもんね。馬鹿が話す怪談は怖くないって言うけど、本当だね……でっ!」

 さすがに言い過ぎたと思った時にはもう遅かった。

 避ける間もない。
 側頭部に張り手を喰らって、幾ヶ瀬は「ひぃ」と短い悲鳴をあげる。

 ずれた眼鏡を直しながら、まぁまぁと両手を振って宥める仕草をしてみせた。

「まぁまぁ、怒んないでよ。こないだ焼き鳥作ったでしょ」

「いつの話だよ。腹立つな」

「まぁまぁ…今度かき氷でも奢るから」

「かき氷かよ」

「いやいや、有夏が想像してるかき氷っていったら夜店の100円くらいのやつでしょ。今のかき氷は違うんだよ!? 平気で1,000円越えとかするんだよ? オシャレなんだよ?」

 急に饒舌に語り出したところをみれば、幾ヶ瀬自身「今のかき氷」が気になって仕方がないのだろう。

「今のかき氷って言ってる時点で、けっこうなお歳なんだよ?」



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