腐女子の霊というのはどういうものだろう。
いや、この女は隣りに住むクソビッチだ。
有夏を狙って(?)しばしばお菓子を貢ぎにやってくる浅ましい女である。
一度掃除を手伝わせたことがあったっけ。
じっとりした視線が幾ヶ瀬の手に注がれている。
正確には有夏の肩を抱いた手、その接触部分をガン見してるではないか。
「み、見るな……っ!」
「えっ?」
「有夏を見るんじゃない! 霊めッ!」
思った以上に声が荒かった。
クソビッチはもちろん、有夏でさえも驚いたようにこちらを見返す。
「霊めって……幾ヶ瀬?」
「あ、いや、その……」
しまったというように視線を逸らせて、口の中で言い訳めいたことをゴニョゴニョ呟く幾ヶ瀬。
「やー、暑いですからねー。しょうがないですよー。夏ってこんな暑かったっけって感じですもんねー。そりゃ、沸きますよー」
クソビッチがフォローしてくるのが、これまた腹立つ。
「霊って…霊めって……」
有夏がいつまでも笑っているのも、また違う意味で腹が立つ。
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【夏だから…怖い話14はコチラ】【完】
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