焦らしたあげく禁断のラブロマンス、なんてプレイを16【完】

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「でもなぁ、有夏がマンネリで嫌だって言ったから。だから、俺いろいろ考えて……」

 

「しつこっ!」

 

 低い笑い声。

 しばらく無言で抱き合っていたのだが、幾ヶ瀬がごそごそとゴーヤTシャツを引っ張るのに、有夏は怪訝そうに顔をあげた。

 

「脱いで、これ。下も」

 

「なに? またすんのかよ?」

 

 言いながらも素直に両腕をあげて幾ヶ瀬にTシャツを脱がされる。

 されるがままに、短パンも。

 

「ちょっと待ってね」

 

 幾ヶ瀬は自分も全部脱ぐと、ゆっくり有夏を抱きしめた。

 

「どした? もっかいすんの?」

 

「違うよ。こうやってくっ付きたかっただけ」

 

「ん……」

 

 コロリと横になって抱きしめ合う。

 

 有夏の瞼がとろりと重くなってきたタイミングで、幾ヶ瀬が「あーあ」と明るい声を出した。

 

「いいな、旅行。あのTシャツは正直どうかと思うけど。お土産Tシャツシリーズのセンスは相当酷いと思うけど。でもなぁ、沖縄かぁ。いいなぁ」

 

「そぉ?」

 

「沖縄もいいけど、温泉とかどうだろう。ね、有夏。今度温泉に行こうよ」

 

「は? やだよ。どうせ有夏に浴衣着せてムラムラしたいだけだろが」

 

 幾ヶ瀬、うっと怯む。

 

「よ、よく分かったね」

 

「長い付きあいじゃねぇの」

 

 甘い笑い声。

 

 そのまま有夏は目を閉じた。

 

 やがて聞こえてきた寝息につられて、幾ヶ瀬も目を閉じる。

 

「焦らしたあげく禁断のラブロマンス、なんてプレイを」完


「有夏チャンのこっちのおクチはウソがつけない!?」につづく






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