夢は売りもの9

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「どしたよ、そんな……ろくおく?」


 信じられない金額を、絞り出すように口にする。


「BIGだよ! コンビに行ったとき、ピンときて買ってみたんだ」


「びっく?」


 コンビニで買えるサッカーくじである。

 有夏がその存在を知らないことを意に介す様子もなく、幾ヶ瀬はいそいそと鞄からチケット袋をとりだす。


「来週の月曜には結果がでるからねっ」


「…………はぁ!?」


 有夏の声が裏返った。

 物騒な響きを秘めている。


「来週に結果って……まだ当たってねぇじゃん、それ!」


 一気に形勢逆転といった風に、幾ヶ瀬は身を縮めた。


「だ、だって……当たる気がするんだもん」


「バカじゃねぇの! それ買ったやつ全員、当たる気がしてんだよ! 宝くじってそういうもんだろが!」


「夢は売りもの10」【完】につづく



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