夢は売りもの8

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 ──6。


 指は六本。


「マンションとか言ってたし。えっ、まさか……ろくせんまん???」


 小刻みに首を横に振る幾ヶ瀬。


「あ、ろっぴゃくまんか。でもすごいって!」


 やはり幾ヶ瀬、首を振る。


「ろ・く・お・く・え・ん」


「えっ?」


 言葉が脳に浸透するのに時間がかかる。


「えっ……ろくおく? 六億っっ!!? ムグッ」


「しーーーっ!」


 口を塞がれて、もごもご言いながらもコクコクと頷く有夏。


 覆った手の平に、物言いたげな唇がふにふにと当たる。

 いつもの幾ヶ瀬ならそれだけで興奮してしまうのだが、本日のこの男、そんなことに反応しなかった。


 大金を手に入れた大人は…ってやつか?


「夢は売りもの9」につづく


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