夢は売りもの3

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 2人の距離が近いからと言うのかと思ったら、掃除が簡単だからなんて抜かしがった。


「幾ヶ瀬?」


 有夏の声が低いのは、少々苛立ちがあったからかもしれない。


 しかし、幾ヶ瀬に応えた様子はない。


 拭き掃除を終えると、気味の悪い笑顔のままこちらを向いた。


「有夏には住みたい場所とかってある?」


「はぁ?」


「都心の高層マンション? 田舎暮らし? 庭に花とか植えて……いや、花は食べられないからいらないや。ジャガイモとか植えよう。サツマイモでもいいな」


「イモ……?」


 やけに大きく出るくせに、言っていることがセコい。


「夢は売りもの」4につづく



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