夢は売りもの2

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 「まずはマンションでもいっちゃうー? ね、有夏」


「う、うん……」


 二度寝を決め込んでいたところ、ベッドの周りで掃除機をかけられて目がさめたのだ。


 掃除は多分幾ヶ瀬の趣味なので、鼻歌の声がいつもより高いことにはさして違和感を覚えない。


 時間的に「うるさい」とキレるわけにもいかず、もぞもぞと起き出した有夏に向かってこの男は「おはよっ、うふふふっ」と笑い出したのだ。


「うふふっ、うふふふっ。有夏、おはよっ」


 でかい身体をクネクネさせて、やけにご機嫌な様子。


 一言で表せば──そう、気持ち悪いとしか言いようがないのである。


「おは……ってか、どした?」


「んーん、狭い部屋を掃除してただけだよ?」


「うん……?」


 言い方!


 狭い部屋なんて、言わなくて良いことをわざわざ!?


「まぁね、今になって考えると、狭い部屋ってのも案外いいもんだけどね?」


「うん……?」


「夢は売りもの3」につづく



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