夢は売りもの10【完】

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 「そ、それは……。でも本当に当たるかもしれないし……」


「まぁね、当たるかもね。そりゃそうだ……あははっ!」


 肩の力が抜けたか、有夏が笑い出す。


「びっくりしてソンした。当たったらゲーム買ってな?」


「う、うん。マンションも買うから……」


 チケット袋をしまいこんだかと思うと、今度は鞄から分譲マンションのカタログまで出した。

 帰り道に不動産屋を何軒か回ったらしい。

 これには、有夏もさすがに呆れた様子だ。


「やっぱ2LDKかな。だってここの家賃2軒分払うことを思えばだよ? 実際の話、ローン組んででもマンション買った方が得じゃない? 別にそんなに広くなくてもいいんだよ。その代わり、収納がいっぱいついてるとこがいいなぁ。場所は、便利でありながら自然を感じられるところ。ここはゴチャゴチャしすぎだよね。夜は静かなところがいいな。ねっ、有夏」


「うん……はぁ?」


「もう! 有夏も希望を出してよね」


「う、うん……」


 1週間、幾ヶ瀬の夢は膨らみ……異様に膨らみ、そして、あえなく潰えた。



「夢は売りもの」完


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