冬だけど…リアル怖い話(11)

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  有夏の指がついと伸びる。

 幾ヶ瀬の顎をとらえると、くいと顔を近付ける。


「パソコンを媒体に幾ヶ瀬に乗り移ろうとしている怨霊のことじゃなくて、有夏のこと考えなきゃ! デスクトップに突然現れる数字がカウントダウンをはじめて、それがゼロになった瞬間、画面から怨霊がいっぱい出てきて幾ヶ瀬の背中に貼りつくかもしれないなんてことより、有夏のことを考えなきゃ」


「ひぃぃ……」


「オマエだーーー!!」


「あひぃぃぃ…………」


 蒼白を通り越して、幾ヶ瀬の額はもはや土気色である。


「あ、あ……あり、か、わざと怖いこと言うし…………」


「アッハッハッハ!」


 けたたましい笑い声。


「何その笑い方……怖いよ?」


 本当に恐ろしいのは霊じゃなく、目の前にいる恋人なのかもとれないと幾ヶ瀬は嘆息した。


「冬だけど…リアル怖い話12」【完】につづく

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