冬だけど…リアル怖い話(10)

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  腹がいっぱいになって、そろそろおねむといったところか。半眼を閉じて生返事を繰り返す有夏。

 その前で拳を固め、そう、幾ヶ瀬は宣言したのだ。


「霊は生命力に弱いらしいんだ。つまり、エッチなことを考えていると霊は寄ってこないんだ!」


「はぁ……」


「聞いてる!?」


 叫ぶような問いかけに、有夏の目が薄く開く。


「聞いてる。ビックリした。幾ヶ瀬ってホンモノのバカなのかと思って」


「ホンモ……バッ……!?」


 コイツにだけは言われたくないと思ったか、幾ヶ瀬のこめかみが一瞬ひくついた。

 でも、負けない──なんて呟くや否や。


 ふわり。

 有夏を抱きしめた。

 細い腰をそろりと撫でる。


 小さく息を吐いたろうか。

 幾ヶ瀬の肩に、頭を凭せかける有夏。


「……幾ヶ瀬、今なに考えてる?」


「れ……オ、オバケいなくなったかな、って」


「霊がいなくなったかどうかは……オマエだーーー!!」


「ぎゃああああっっっ!!」


「ダメじゃん!」と、軽やかな笑い声。


「冬だけど…リアル怖い話11」につづく

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