冬だけど…リアル怖い話(4)

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 しかし口元はウズウズしていた。


「……霊能力者?」


「えっ?」


「有夏、霊能力者なのかな?」


「いや、知らないし!」


 全力でツッコむ幾ヶ瀬。

 どうやら霊能力者…というか、「能力者」というワードがオタクの琴線に触れたらしい。

 この状況でニヤニヤと、それはそれは不気味な笑顔である。


「では能力者たる有夏は今、ここに肉まんを具現化させまっす!」


 宙に両手をかざし「はぁぁぁっ!」と、なんだか気合をいれている模様。


「……あの、有夏?」


「我が腹を見たせしホカホカの白きもの……出でよ、肉まんっっ!!」


「…………あの、有夏?」


「で、出ない……だと?」


「………………あのぅ、有夏さん?」


 呆然と手の平を見つめる有夏の背をつつき、幾ヶ瀬は呆れ顔だ。


「前回から肉まん肉まんって……そんなに食べたいならあとでコンビニ行って買ってくるよ」


「前回って、何その時間軸?」


「ああ、またこのやり取りか……」


「冬だけど…リアル怖い話5」につづく

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